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「アンテナショップ」5つの勘違いからの脱却プラン

アンテナショップブーム

ここ数年、アンテナショップという言葉をよく聞きます。銀座・有楽町では「アンテナショップ一覧マップ」なるものをつくり、「アンテナショップ巡り」なるものを提案していたりもします(銀座・有楽町アンテナショップMAP)。まさに、アンテナショップブームです。
 
しかしながら、ブームに乗ってアンテナショップを開設して、地方の方々が東京に物産を持ち込んで販売する、ということに関して、よく勘違いしている意見を聞きますので、ここではその勘違いについて整理し、アンテナショップに頼らない地方の物販について考えていこうと思います。
まずいくつかの勘違いポイントを整理していきます。
 

勘違い1「東京は人が多いから物を持っていけば売れる」

まず、この勘違いをどうにかしないといけません。東京は確かに人が世界一集積している都市です。ここまで都市機能が集中化し、人も住んでいる規模の都市は世界中でもありません。一応、2020年でも世界一の都市である予定です。ミシュランでも世界一うまい店が集積しているという都市です。
 
つまり、世界中からいいものが集まり、人々の目も舌も肥えている都市とみないといけません。そもそも「人が多い=物が売れる」というのは、需給関係の視点から「需要>供給」である昭和な価値観から生まれています。今は「需要<供給」であるのは言うまでもなく、東京は世界中から供給されている豊富かつ高品質な食品が多いのを忘れてはいけません。
また、競争環境があるのを忘れてはいけません。様々な店舗はそれぞれ工夫をして商品販売をしています。単に店を出せばOKなんてものは、商品間の競争と共に、店舗間競争もあるのを意識しなければならないのに、自分たちの論理で店作りをしてしまって大失敗するののも目にします。
 
 

勘違い2「東京より地方のほうが美味しいから、絶対に売れる」

勿論、地方のほうがおいしいものがありますが、東京にはもともと地方から美味しい物が集まっています。お金さえ払えばいくらでもうまいものは食べられます。魅力的な宝石でもなんでも東京にあります。よく「うちのは日本一うまい○○だ」という人がいますが、日本中の○○を食べたのでしょうか。そんなことはありません。デパ地下にでもいって見てきてください。その商品以上のものはいくらでも並んでいます。
 
また何より「いいもの=売れる」というのは大きな勘違いです。日本人のものづくり観なのかもしれませんが、いいものという定義を主観的に持っていても伝わりません。人がそれをいいものだと評価してもらうためにはマーケティングが不可欠です。伝える努力をせずにそのスペックの評価は人にしてもらえません。いいもの作れば何もせずに売れるなんてことはないのです。
 
 

勘違い3「たくさん売れれば儲かる」

売り上げ至上主義の典型です。沢山売れれば儲かると思っている人が非常に多いです。売上が大きくなれば儲かるのは当たり前だろ?と言われる方もいますが、コスト設計をしっかりやらずに売上だけ追求しても利益はでません。
あるアンテナショップで3億円売上があると豪語しても、家賃が1億円かかるという話がありました。家賃が売上の30%も占めていて儲かるはずがありません。地方からすれば1店舗で3億円も売れるなんてすごい!となるのでしょうが、利益がでないで家賃補填を税金でしているようであれば、産業振興どころから地元の産業の付加価値では稼ぎきれないマイナスを生み出している不採算部門に他ならないのです。
 
儲かるというのは、売上が伸びるのと費用が適正であることの両輪で実現されるものです。単に沢山売れる通行量の多いところに出せば、なんて感覚で立地だけを見て店を出すなんて、絶対に儲からないのがわかりますよね。コスト倒れで終わります。
 
 

勘違い4「アンテナショップを出せば商談が増加する」

アンテナショップから沢山の商談が生まれて、地元企業が急成長したという話をあまり聞いたことがありません。そもそも商談は、営業をかけないと成立しないものであって、黙って店に品を並べたからといって相当な話題にならない限り、取引相手から来てくれるなんてことはありません。
一方で、アンテナショップがなくても自ら営業をかけて商談をまとめている会社も地方にはちゃんとあります。アンテナショップがトリガーであるか否かではなく、まずは自ら営業をかけていくのが基本であって、その上でアンテナショップが副次的にどう機能するか、ということです。
 
よくハッピをきた人がアンテナショップに並んでいますが、それ以外に都内企業に営業をかけているのでしょうか。その出張費をぺいするだけの稼ぎはあるのでしょうか。店を出して待ちの姿勢でいるようであれば、商談が増加するとは考えにくいです。
 
 

勘違い5「予算によってリスクが低減できている」

アンテナショップは県庁予算とかにおんぶにだっこで出店し、売ってみたけどダメだったらやめるんだ、といった話を聞きます。相応のリスクは負わずに、単に期間限定で諦めるというのはあまりにおかしい。これはリスクが予算によって低減できているのではなく、そもそもやる気が中途半端な人たちが予算によってたまたま出てきた、だけに過ぎません。本気の人は自分たちで投資して出店してきます。
 
東京というエリアに試験的に物をだすのであれば、その意見のフィードバックを受けてどんどん商品を作り替えていく貪欲さがないとものにならないと思います。最初につくってそれで終わりではなく、どんどん商品性を高めていき、ファンも開拓して独り立ちできるところまでやろう、という覚悟なしに単に予算があるからといってやっても全く意味ない。
昨年とある自治体の商品開発に関わったが、このあたりの貪欲さの問題は感じた。つくって終わりではなく、どんどん進化させていくというあたりのスピード感がないと恐らく商品開発は追いついてこないのだと思う。
 
 

解決策

1.B2Bに特化
まず1個1個を売るB2Cを自ら都内で展開するというのはナンセンスです。固定費も高く、自分たちの地域のものだけで4シーズン店舗を全て埋めることは難しい。マーチャンダイジングで破綻することが多く見られます。なので、既存店舗に仕入れてもらうのが最も合理的。ただ売れるかどうか分からない商品の取り扱いをするのは店舗側も悩むので、地方の物産販売の目利きができるフラグシップ店舗を数店舗作り、そこで販売方法なども確立して他店舗に展開する方法にする。
 
2.実店舗はテストマーケティングにも使う
実店舗はテストマーケティングにも使うのが得策。最初から決めではなく、商品の内容変更をどんどん加えていく体制を地元側でもつくる。でないと、フィードバックが活かされないのであれば、売れない可能性大。
 
3.デザインも手を加える
いいものを取り扱ってたら売れるわけではなく、いいものをいいものと伝えてはじめて商品は売れます。そのためにデザインは不可欠であり、一定はデザイナーに監修で投資する必要があります。「手作りは温かさがある」というものが商品販売でうまくいくことは滅多にありません。
 
4.利益挙げるのであれば、固定ではなくテンポラリー利用
固定店舗を365日維持するのは、困難です。それよりも、まずは売上が見込める土日のみのポップアップ店舗として展開する等のテンポラリー展開をすると、費用が変動計算できるので、リスクが最小化になります。
 
5.B2Cはネット
実店舗販売ではカバーしきれず、なおかつダイレクトマーケができないのでネットを利用してB2C販売を強化する。リピーターなどの囲い込みも固定店舗では商圏設定とかで難しいが、実際の販売会でつかんだ顧客をネットに流すというコミュニティ型のネット販売は固定費も大きくなく、頒布モデルとかで安定収入を図ることもできる。
 
 

まとめ

以上を考えていくと、銀座とかにアンテナショップ出すよりも商店街やまちづくり会社と組んで販路を開拓するほうが確実ではないかという提案にたどり着きます。アンテナショップは「店を出した」という実績がつくりやすく、また業者やコンサルに丸投げでいいので手間がかからず楽ですが、リスクが大変大きく、ほとんどの場合失敗します。
そうではなく、まず商店街やまちづくり会社と組んではじめてみてください。

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