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[海外事例]パサディナ市中心部は、歴史的建造物保全と新規開発を共存させた。

パサディナ(Pasadena)という都市をご存じでしょうか。ロサンゼルス郊外に位置している、パサディナは人口約13万人程度の中規模都市です。新年に開催されるローズボール(フットボールのイベント)、ローズパレードなどが有名で、中心部を入るコロラド通り沿いには様々な商店が軒を連ねています。
 
フリーウェイ建設などによって白人層を中心としたリゾート地として1920年代から繁栄を確かなものしました。実際に現在も、周辺にはリッツカールトンなどの有名ホテルが存在しています。しかしその後60年代からは経済の低迷や周辺工業地域の影響を受けて荒廃を経験し、70年代から活性化に向けた取組みを始めました。
 
特に歴史的建造物が多い地域であるため、それらを保全しつつもメインストリートであるコロラド通り沿いの活性化を促進。また核となる大規模商業施設と新規居住施設の創出、駐車スペースの確保を併せて実現するべく、再開発によってパセオコロラドを建設するなどで成果を上げてきています。
 
このように歴史的建造物保全と新規中心部再開発とを組み合わせて中心市街地の再生を果たしてきたと言われる、この地域が実際にはどのような状況にあるか、簡単にご報告します。
 
まず国内などでも知られている情報として、総務省が出している報告書に掲載されている部分を引用しますと、
 

パサディナ市(カリフォルニア州)・総務省資料より
中心市街地の活性化を図るため、民間事業者と協力してショッピングモールを都心部に建設。民間事業者に財政的支援をする一方で、環境整備等について意見調整を図った。
総事業費約1.2億ドルの約半分を市が負担。市が土地を買収し、整備を行った後で低価格で売却するとともに、駐車場整備やテナントとなるデパートの移転費用等に補助金を支出。その一方で、施設の設計や周辺環境と調和するための方策について、市と住民で構成するデザイン・コントロール委員会等が審査。数年にわたる交渉の末に両者が合意し、1980年にショッピングモールが完成した。

 
となっています。
基本的に再開発地区を核として中心市街地の活性化を図っているという内容が中心なっているほか、施設の周辺地区との調和を重要視していることが指摘されています。その他の点を含めて少しパサディナの中心部を説明します。
 

オールドパサディナ

オールドパサディナはコロラド通りがかつての大動脈として利用されていたわけですが、衰退と共に空洞化。それに対応して、前述のように市がイニシアチブをしり、再開発局を創設し、歴史的建造物のリノベーションなどを積極的に推進して商業地区としての再生を図りました。
特に不動産自体の取得をまずは積極的に推進できた背景には、地価がそれだけ低下していたことと、民間資金を呼び込むために再開発後に低価格に売却するというスタイルをとったことが言えるでしょう。
 
その成果もあって、通り沿いの各商店などにはブランドショップ、飲食店(イタリアンから和食まで多彩)などバランスのよいテナントミックスが実現されています。
このオールドパサディナ自体がショッピングモールとして全米協会にも登録されており、米国で70年代から推進されていた商店街をショッピングモールのよう取り扱うCRM(Centerizaed Retail Management)の粋がそこにはあるように感じられました。また歴史的建造物との調和を図った各店舗のデザインは全く違和感なく統合されています。
歴史的建造物を守った背景には、地元にArt Center Collage of Design Pasadenaという産業デザインに強い大学があるなど、デザインや歴史的価値に対する意識も高かったようです。
 

コロラド通り沿いは綺麗に整備と管理がなされているだけでなく、脇道までしっかりと行き届いています。
 

再開発地区・パセオコロラド(PaseoColorado)

さらにその中心地あたりに位置しているのが、再開発された地区パセオコロラド地区です。
ここは比較的当たらしく2001年秋にオープンしたばかりの新しい施設です。中心部の百貨店、スーパー、雑貨等店舗、飲食店などの商業施設と共に、上層階はレジデンス(住居)としてリースされています。つまり、商業・住居一体型の再開発地区となっています。
 
訪れたのが昼時だったため、飲食店ゾーンは非常に混雑していた。また7000台分近く確保されているという駐車場も一杯一杯でした。
 

ほとんどデザイン的には統合されているのでわかりにくいですが、下層が商業、上層が住居となっています。
 

 
このように80年代に完成したコロラド通りのオールドパサディナのショッピングストリート自体も堅調に推移すると共に、パセオコロラドなどの新規のショッピングモールと住居スペースなども積極的に開発を続けてゆくことで、周辺地区の価値の向上を続けています。
特に、初期の段階で市と民間開発事業者とのパートナーシップが維持され、開発後も計画的に民間事業者が集中的に管理を続けたことは長期的な繁栄においても有効に機能していると考えられます。

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